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北海道家庭医療学センター HCFM

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 北海道家庭医療学センター 後期研修説明会

みなさま、寿都診療所の中川です。
暑さもやっとひと段落?まだまだ真っ盛り?でしょうか??今年はどうかしておりますが・・・、

北海道家庭医療学センター 後期研修説明会 を開催します。
ご興味ある方は是非お時間を何とか作り出していただき、会場を足を運んでいただけると幸いです。
当日は懇親会も用意しておりますので、込み入ったお話もできると思います。

   日時 9月12日(日)

   時間 14:30 ~ 17:30
      18:00 ~ 懇親会

   会場 アスペンホテル 2F 『エルムの間』
        札幌市北区北8条西4丁目5番地
        http://www.aspen-hotel.co.jp/frame-guestroom.htm

   タイムテーブル
    14:30~14:45 家庭医療、HCFMとは? 
    14:45~16:15 mini workshop
            「Diagnostic Presentation」 …*1
           講師:濱口先生(江別市立病院)
    16:20~17:20 HCFMの提供する家庭医療専門医研修
    17:20~17:30 事務関連説明 

    18:00~  最寄りの居酒屋にて懇親会 
            (是非こちらもご参加ください)

講師プロフィール 濱口杉大先生
 市立舞鶴市民病院を経て、現在江別市立病院総合内科にてご活躍されています。詳細な病歴聴取と身体診察を中心とした臨床診断推論(Clinical Diagnostic Reasoning)に関し実践することはもちろん、後進の育成にも多方面で御活躍されています。
 北海道総合内科医教育センター長、日本内科学会認定内科医、札幌医科大学医学部臨床講師、Master of Science, Tropical Medicine & International Health、Diploma in Tropical Medicine & Hygiene

*1 mini workshop 「Diagnostic Presentation」
プレゼンテーターが頭の中で鑑別診断や診断そのものをどのように考えているかが相手に伝わるようにプレゼンテーションするものです。これを使用して診断学における病歴聴取の重要性を学んでもらうという内容です。。
# by hcfm | 2010-09-04 10:34

Journal Club ~プライマリ・ケアの外来における抗菌薬投与が与える抗菌薬耐性への影響~

【文献】
Ceille Costelloe, et.al.: Effect of antibiotic prescribing in primary care on antimicrobial resistance in individual patients: systematic review and meta-analysis. BMJ: volume340, pp2096, 2010.
この文献へのリンクはこちら
【この文献を選んだ背景】
他院で「かぜ」と言われて処方を受け、「症状がよくならない」といってやってくる患者さんたちの薬情には決まって何かしらの抗菌薬が。耐性菌の問題が気になるこのごろ。診察室で患者さんの説明に役立ちそうな、個人をベースにした抗菌薬耐性のレビューを見つけたので紹介します。
【要約】
《目的》
プライマリ・ケアセッティングにおいて抗菌薬を投与された患者に引き続いて起こる抗菌薬耐性に関する研究のsystematic review。可能ならmeta-analysisも実施する。
《デザイン》
Meta-analysisも実施したsystematic review
《Reviewの方法》
MEDLINEやEMBASE、Cochrane data baseを検索して得た4373の文献が対象。
2名の独立した評価者が文献を評価し、データを抽出した。
同様のアウトカムを使用している研究に関してmeta-analysisを実施した。
《結果》
24の研究がレビューに採用された。
22の研究が感染症患者を対象としたもの、2つの研究は健康なボランティアを対象としていた。
19の研究が観察研究(うち2つはprospective)で5つの研究がランダム化試験であった。
尿路感染症を対象とした8つの研究のうち、5つがmeta-analysisに足る研究であった。
抗菌薬による治療後2か月以内の耐性菌検出のオッズ比は2.5(95%CI 2.1 – 2.9)
12か月以内では1.33(95%CI 1.2 – 1.5)であった。
呼吸器感染症を対象とした9つの研究のうち、7つがmeta-analysisに含まれた。
抗菌薬による治療後2か月以内の耐性菌検出のオッズ比は2.4(95%CI1.4 – 3.9)
12か月以内では2.4(95%CI1.3-4.5)であった。
投与した抗菌薬の量についてレポートしている研究では抗菌薬投与期間が長いほど、また複数の抗菌薬を使用したときほど耐性菌検出の頻度が高かった。
抗菌薬による耐性菌検出の違いは今回のレビューでは傾向はつかめなかった。
期間による耐性菌検出の変化を追った研究が1例のみ認められた。
抗菌薬治療後1週間ではオッズ比が12.2(95%CI 6.8-22.1),1か月では6.1(同2.8-13.4),2か月では3.6(同2.2-6.0),6か月では2.2(同1.3-3.6)。
《結論》
呼吸器または尿路感染症にたいして抗菌薬の投与を受けた個人はその抗菌薬に対する耐性を獲得する。
その影響は抗菌薬による治療後の1か月以内がもっとも大きいが、12か月持続する可能性がある。
この影響はfirst lineの抗菌薬に対する耐性菌を地域内にまん延させるばかりでなく、second lineの抗菌薬使用をも増やしてしまう結果を生む。
【考察とディスカッション】
抗菌薬を使用した個人から耐性菌が検出されることが明らかにされたsystematic reviewであり、しかもその期間が長くて1年に及ぶことも知ることができた。
むやみな抗菌薬の使用を控えること、それを患者さんにしっかり説明するための根拠として利用できると考えた。
ただし、耐性菌の培養による検出をアウトカムにしたリサーチのレビューであり、今後は2次医療機関への入院や治療期間の長期化など、患者にとってわかりやすいアウトカムを設定した研究が必要と感じた。
また、抗菌薬の種類、治療期間などによる耐性菌出現の違いなどについても研究が必要と思われた。
【担当者】
山田康介(更別村国民健康保険診療所)
【開催日】
2010年9月1日(水)
# by hcfm | 2010-09-01 15:19 | Journal Club

Journal Club ~発作性心房細動の手持ち薬による治療~

【文献】
A John Camm, Irina: PRACTICE Change page - Some patients with paroxysmal atrial fibrillation should carry flecainide or propafenone to self treat. BMJ Volume334, pp637, 2007.
【この文献を選んだ背景】
52歳の男性で、胸苦を主訴とした発作性心房細動の患者。サンリズム内服にて洞調律へ復帰したが、この方の治療について調べていたところ、この文献を見つけ興味を引かれたため読んでみることにした。
【要約】
《臨床的問題》
 発作性心房細動による、動悸、めまい、倦怠感、胸痛がある患者に、
プロパフェノン(プロノン;クラス1c群)またはフレカイニド(タンボコール;クラス1c群)の内服による自己治療‘ポケットに薬’のアプローチ法を提案する。最近のNational Institute for Health and Clinical Excellenceや国際的なガイドラインで提案されている。
《エビデンス》
 この自己治療の方法を行った212のケースで、厳重な管理のもと経口プロパフェノンにて安全に除細動された場合、病院外での自己治療でも十分に治療に反応することが示された。
実現可能性を示すキーとなる研究では、病院にて発作性心房細動に対し、経口のフレカイニドまたはプロパフェノンの投与で治療に成功した210の患者が、頻脈に気づいたら5分以内に一回量を内服するよう適切な薬を渡された。症状が穏やかで比較的心房細動の発作が少なく(病歴12年以下)、発作開始が明確な患者が選ばれた。さらに48時間以内に不整脈が始まり、平均脈拍数が70回/分以上、収縮期血圧が100mmHg以上の者に限って選ばれた。重度の心疾患が背景にある患者、予防的抗不整脈薬が投与されている患者、電解質異常がある患者は除かれた。これらの210の患者は、各々の過去のコントロールデータと比較された。心房細動発作の発生する回数は、それ以前とさほど変わりがなかったが(54.5回v59.8回/1ヵ月)、救急外来を受診する回数は減少した(4.9回v45.6回/1ヵ月、P<0.001)。観察期間中の入院回数も著しく減少した。(1.6回v15回、P<0.001)

続きはこちらから
# by hcfm | 2010-09-01 15:06 | Journal Club

北海道家庭医療学センター フェローシップのご案内

以下に詳細を掲載します。
ご関心のある方はお気軽にご連絡下さい。
折り返し、フェローシップ・プログラムの要綱(待遇や教育プログラムのスケジュールと内容の詳細)をお送りします。
もちろん、勤務地の視察を目的とした見学などもコーディネートしていますので、早めにご相談下さい。

 連絡先:リクルートメント担当事務 千葉 [y.chiba@hcfm.jp]

 関連HP:
   北海道家庭医療学センター       
   寿都町立寿都診療所   


【フェローシップとは?】
 当センターのフェローシップは、家庭医療専門医研修終了後の家庭医療専門医(旧PC学会のPC専門医も含む)を対象として、「診療所の所長・院長として、深みのある家庭医療・診療所の適切な運営(マネジメント)・研修医教育・家庭医療臨床研究の4要素を継続的に実践できること」を目標とした2年間の意欲的な指導者(リーダー)養成プログラムです。
 当センター直営の診療所をフィールドとしながら、家庭医スタッフ(所長)の指導の下、副所長という責任あるポジションを与えられ、現場での実践とフェローシップ学習(TV会議を通じた講義・ワークショップ、札幌でのグループ学習など)、さらには指導者からの定期的フィードバックを組み合わたfMAPプログラムを受講して頂きます。
 教育体制としては、経営や臨床教育についてはカナダ・ウェスタンオンタリオ大学家庭医療学講座・家庭医療学マスターコースにて学んできた草場がコーディネートしながら当法人指導医や経営陣が担当し、臨床研究については京都大学医療疫学教室の福原教授のコーディネートにて研究の基礎から実習、実践まで現場を熟知する研究者が担当します。

【後期研修との違いは?】
 専門医研修が家庭医としての土台作り(ホップ)とすれば、このフェローシップはリーダーとして診療所を安定的に運営して家庭医としての自信あるキャリアを切り開くためのステップの機会を提供するイメージでしょうか。立場は人を作りますので、受け身になりがちな研修時代とは全く異なる視点で診療やマネジメントを実感できると思います。

【今までの在籍者とその進路は?】
 H19年度に1名、H20年度に2名、H22年度は4名(内、センター外から2名)がこのフェローシップに登録し学びを深めてきました。なお、すでに修了した1期生の安藤医師は当センターの上川町立上川医療センターの院長として、2期生の平野医師と松田医師はそれぞれ本輪西ファミリークリニック院長代行及び栄町ファミリークリニック院長として活躍しています。

【修了後の進路は?】
 フェローシップ修了後は、もちろんHCFM内で更に家庭医のキャリアを積んでいただくことも可能ですし、出身地に戻ったり、家業を継いだりとそれぞれのニーズに合わせた展開を支援します。当センター所属の経営コンサルタントが堅実かつ成功しやすい開業支援などを行うことも可能です。

【応募資格・募集人数・選考方法・募集スケジュール】
 応募資格:日本プライマリ・ケア連合学会・認定後期研修プログラム修了見込みもしくは修了の者
      もしくは 認定プログラムと同等の家庭医療後期研修修了者(認定プログラム以前の場合)
 人数:1名
 勤務地:寿都町立寿都診療所(北海道後志、中川貴史所長)
 選考方法:面接
 募集スケジュール:~9/30 応募締切
          10月中 個別面接(応募者と場所・日時を調整)
          10月末 採用決定
# by hcfm | 2010-08-31 11:43

Journal Club ~患者さんに薬を飲んでもらうためにはどうすればよいか?~

文献
#1
Barbara J. Stephenson et al.: Is This Patient Taking the Treatment as Prescribed? JAMA & ARCHIVES JOURNALS, Chapter 15, p173-182, McGrawHill Medical.
#2
なぜ、患者は薬を飲まないのか?「コンプライアンス」から「コンコーダンス」へ クリスティーヌ・ボンド編集、岩堀禎廣/ラリー・フラムソン翻訳、薬事日報社.
この文献を選んだ背景
HFCでは毎週火曜日朝にJAMAのThe Rational Clinical Examinationの抄読会を行っている。
その中で文献1に出会ったが、自分の中でこれまでの自分のもっていた印象を覆された衝撃的な内容であった。
また、その服薬コンプライアンスについて調べている中で偶然文献2とも出会い、現在フェローシップで勉強している内容とも関係してくる「コンコーダンス」という概念を今回初めて知ったため、考察にて併せて取り上げることとした。
要約
【臨床評価の重要性】
コンプライアンス不良は多く、臨床医はそれを改善する手助けが出来、患者の有益性を高めることが出来るため、臨床医は患者の服薬コンプライアンスを評価すべきである。長期にわたる自己管理薬治療の平均的なコンプライアンスは、治療継続中の患者でおよそ50%である。
【コンプライアンス不良の本質】
投薬内容を患者はしばしば、複雑、不便、厄介(embarrassing)、あるいは高価と感じる。特に慢性疾患では、長期の利益より短期の不都合の方が重視される。コンプライアンスの「規定因子」に関して、年齢、性別、人種、教養、学歴といった社会統計学的因子との関連はわずかである。その一方で、コンプライアンスは精神疾患を有する患者は低くなりがちで、疾患に伴う機能障害をもつ患者で高くなる傾向にある。外来待ち時間が長く、再診間隔が長いと、予約時に受診せずケアから脱落する。複雑で、コストがかかる治療内容だったりその治療期間が長くなったりするほどコンプライアンスは低くなる。

続きはこちらから
# by hcfm | 2010-08-18 09:44 | Journal Club
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